Kanto も参照。

アイヌ語

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カナ表記 カント

発音

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異表記・別形

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  • nisaru kando(鳥居龍蔵の北千島アイヌ語資料)
  • канто(ヴォズネセンスキーの千島アイヌ語資料)

語源

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kan上にある +‎ to

本来語[1]。初出は『蝦夷拾遺』(1786)の天を意味する「カントウ」[2]

名詞

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kanto

  1. てんそら天空てんくう
    • シノッザアルコンタ/カントコトル/チオリキンカ[3]
      sinotca arkonta / kanto kotor / ciorikinka
      (すると)歌の一部は/に/上っていく。
    • オロワネシ/スブキハムカ/アコロユビ/ドラノカイキ/カネシンタ/シンタウブソロ/アオシキルバ/センラムセコロ/カネシンタ/コフムマッキ/カントコトル/コシヹタイヹ/キルヹネ[4]
      orowa nesi / supki ham ka / a=kor yupi / turano kayki / kane sinta / sinta upsor / a=osikirpa / senram sekor / kane sinta / kohumumatki / kanto kotor / kosietaye / ki ruwe ne.
      今度コントは /ぐもの大神 /我の兄 /友に今度 /金の工神駕 /神駕内へ /乘入けり /いちもかわりなし /金の神駕 /おとが立り /の上へ /上りけり /そうして (それからヨシの葉の上の兄さんと一緒に金のシンタシンタに乗った。いつものことだが金のシンタは轟々と鳴りつつ天に引き返したのだ。)
    • ヹンベウブン・/カントコトル・/エヹシノイヹ・/ヘトボ・ホリカ・/アドイソクルカ・/ルヤンベサシネ・/エラン・フムコンナ・/サシナタラ・[5]
      wen peupun / kanto kotor / ewesinoye / hetopo horka / atuy so kurka / ruyanpe sas ne / eran hum konna / sasnatara
      激しいしぶきが/に/巻き上がっては/真っ逆さまに/海面へ/豪雨が降るように/落ちる音が/ザーザーと鳴る。
    • ネブトホ・/イドレンクス・/シバセカムイ・/カントコトル・/コフムエブシ・/タンカムイマフ・/ラン■フムコンナ・/コドリミムセ・[5]
      nep pitoho / i=turen kusu / sipase kamuy / kanto kotor / kohum’epus / tan kamuy maw / ran hum konna / koturimimse
      何かの神が/私に憑いているために/(憑いている)真に重い神が/天空で/音がはじけて/神風の/吹き下りる音が/鳴り響く。
    • バクノネコロ・/カントコトル・/アコシヱタイヹ・/ウラルカント・/アランボソレ・/ノチウオカント・/アランボソレ・/[■ /カ]ムイモシロル・/アコヱソヨシマ・[6]
      pakno ne kor / kanto kotor / a=kosietaye / urar kanto / a=ramposore / nociw’o kanto / a=ramposore / kamuy mosir or / a=koesoyosma
      そして/へ/飛び立って/霞のを/突き抜け/星のを/突き抜け/神の国に/パッと飛び出た。
    • シニスカント・/アコヱソイカルバ・/タンキヌブソ・/アルバルコ・/マクナタラ・/キヌブノシキタ・/カネザシ・/アシルコンナ・/コメウナタラ・[6]
      sinis kanto / a=koesoykarpa / tan kinup so / arpa ru ko / maknatara / kinup noski ta / kane casi / as ru konna / komewnatara
      本当のを/突き抜けると/カヤ原が/遥かに/広々と打ち開けて/カヤ原の真ん中に/金の城が/建つ様子は/堂々と立派だ。
    • キロクアワ・/シニシカント・/ブシコサンバ・/バセカムイ・/ランフムコンナ・/ドリミンセ・[6]
      ki rok awa / sinis kanto / puskosanpa / pase kamuy / ran hum konna / turimimse
      そうすると/本当ので/破裂するような爆音がして/重い神の/降りてくる音が/鳴り響く。
    • イタカンキコロ」/カンドコトル」/アエコニスイヹ」/キロクアワ」/ソンノボカ」/シクヌカムイネ」/バイヹフンコンナ」/コドリミンセ」[7]
      itak=an ki kor / kanto kotor / a=ekonisuye / ki rok awa / sonno poka / siknu kamuy ne / paye hum konna / koturimimse
      (と)言いながら/(兄妹の死体を)天空に/ぶん投げた/ところ/本当に(兄妹が)/生き返る死霊として/飛んで行く音が/鳴り響いた。

参考文献

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  1. Alexander Vovin (1993), A Reconstruction of Proto-Ainu, Brill 
  2. 平山裕人 (2013), “カントウ”, アイヌ語古語辞典, 明石書店 
  3. 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-1 kamuyyukar (1), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  4. 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-2 kamuyyukar (2), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  5. 5.0 5.1 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-1 yukar (1), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  6. 6.0 6.1 6.2 鍋沢元蔵 (1954), Nabesawa-3 yukar (2), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  7. 鍋沢元蔵 (1959), Nabesawa-5 yukar (3), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 

エスペラント

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名詞

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kanto (複数 kantoj, 単数対格 kanton, 複数対格 kantojn)

  1. うた

関連語

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