ごまかす【当て字:誤魔化す】
- (他動詞) 〔それの〕本当の状態を、他の人に伝えないようにする。
- ビートリスは婚約者に、不機嫌をごまかすことなど、朝飯前だ。(フレッド・M・ホワイト「くちなしの花」)〔奥増夫訳2019年〕[1]
- 彼は自分の眼にあらわれる狡猾さと、顔つきが貪欲になるのをごまかすために、自分がいかにも無力な、悲しい男であるかのような表情を作った。(江山本周五郎「青べか物語」)〔1960年-1961年〕[2]
- やっつけてしまった後で、あいつは君という目撃者がいることに気付いたんだ。そこで城介はそれをごまかそうとしたんだよ。(梅崎春生「狂い凧」)〔1963年〕[3]
- (他動詞) 〔人や、人の感覚を〕あざむくようにして、本当のことが伝わらないようにする。
- みんな、あの大男を灰色の巨人だと思いこんでいるが、どうもそうではなさそうです、ほんとうの犯人は、かげにかくれて、あんな大男をつかって、われわれを、ごまかしていたのです。(江戸川乱歩「灰色の巨人」)〔1955年〕[4]
- 講義や論文は舞台であった。知識の低い大衆が、トリックや照明や音楽にごまかされ大かっさいをおくっているのだった。(永井隆「ロザリオの鎖」)〔1948年〕[5]
- 記代子はかなり巧みに芝居を演じた。小娘としては出来すぎたほど過不足なくやったつもりであったが、青木の鋭いカンをごまかすことは不可能であった。(坂口安吾「街はふるさと」)〔1950年〕[6]
- (他動詞) ばれないように、〔それを〕取る。
- それがたった一つの楽しさなのだ。二寸ばかりのキュウピーを一つごまかして来て、茶碗の棚の上にのせて見る。(林芙美子「新版放浪記」)〔1928年-1930年〕[7]
- 古賀さんは、天ぷらの一切れを口に入れた。鯖の切身をちょっとごまかして、下等なピーナツオイルで揚げたものだ。(豊島与志雄「花ふぶき」)〔1948年〕[8]
- 「さうか、では買つて來て呉れ、二合壜一本幾らだい?」「三十三錢。」それを聞きながらこの小僧奴一錢だけごまかすな、と思つた。たつた今三十二錢で買つて來たばかりなのだ。(若山牧水「比叡山」)[9]
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 | ごまかさない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | ごまかそう | 未然形音便 + う |
丁寧 | ごまかします | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | ごまかした | 連用形音便 + た |
言い切り | ごまかす | 終止形のみ |
名詞化 | ごまかすこと | 連体形 + こと |
仮定条件 | ごまかせば | 仮定形 + ば |
命令 | ごまかせ | 命令形のみ |