けち【吝・吝嗇】
- ひどく、物惜しみをすること、または、その人。吝嗇・吝嗇家。
- (形容動詞又は「けちくさい」の形で)つまらない、取るに足らない。
- この講堂にかくまでつめかけられた人数の景況から推すと堺と云う所はけっして吝(けち)な所ではない、偉い所に違いない。(夏目漱石『中味と形式』)
- (「けちがつく」「けちをつける」の形で)価値を下げるもの。非難・批判の原因となるもの。不吉なもの。
- 庄太の報告によると、辰伊勢は江戸町でも可なり売ったが、安政の大地震のときに、抱えの遊女を穴倉へ閉じ籠めて置いて、みんな焼き殺してしまったとかいうので、それから兎角にけちがついて、商売の方もあまり思わしくない。(岡本綺堂 『半七捕物帳 春の雪解』)
- こっちがこんな心配をすればするほど清の心を疑ぐるようなもので、清の美しい心にけちを付けると同じ事になる。返さないのは清を踏みつけるのじゃない、清をおれの片破れと思うからだ。(夏目漱石『坊っちゃん』
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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推量・意志 |
けちだろう |
未然形 + う
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過去・完了 |
けちだった |
連用形 + た
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否定形 |
けちでない |
連用形 + ない
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自動詞化 |
けちになる |
連用形 + なる
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言い切り |
けちだ |
終止形のみ
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名詞化 |
けちなこと |
連体形 + こと
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仮定条件 |
けちならば |
仮定形 + ば
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様態 |
けちそうだ |
語幹 + そうだ
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語義1
- 形容動詞: