軽 重(けいちょう、古:けいじゅう、きょうじゅう)
- 質量が軽いことと重いこと。
- 私は、はじめ昇降機の速力などといふものは登載物の有無に関はりはないものかと思つてゐたのであるが、詳さに験べて見ると、その軽重に依つて微妙な変化のあることを見出した。(牧野信一 『日本橋』)
- 負担が軽いことと重いこと。
- 価値や意義が軽いことと重いこと。又、軽んじることと重んじること。
- また男といい女といい、ひとしく天地間の一人にて軽重の別あるべき理なし。(福沢諭吉 『中津留別の書』)
- もちろん申し上げたいことは軽重いろいろあるのですが、便宜上次の三ヵ条にまとめた上、その後に注釈めいたことを書きます。(末弘厳太郎 『役人学三則』 )
- 程度や優先順位が軽いことと重いこと。無視して好いことと無視できないこと。些細と重要。軽微と重大。
- 評価すること。
逆の意味を示す漢字二字を組み合わせた熟語を作る際、通常は「高低」「長短」「深浅」「親疎」「濃淡」というように大きい方を先にして小さい方を後にするが、「軽重」「陰陽」「貧富」などは例外で、小さい方(軽、陰、貧)が先で大きい方(重、陽、富)が後になる[要出典]。
但し、「甲を重んじて、乙を軽んじる」という熟語を作る際には、同義語の「貴賎」と同じく、「重甲軽乙」という順序になる(例:重義軽利)(これは中国語でも同様。中国語の例:重男輕女)。
- 貴賎(価値や意義が重いことと軽いこと)
- 本末(重要と些細)
- 英語(※日本語とは逆で、「重軽」「重いことと軽いこと」という順番になる。)
- 軽くしたり重くしたりする。
- けだし農なり商なり、また航海なり、人生の肉体に属することにして近く実利に接するものなれば、政府はその実際の利害につき、あるいは課税を軽重し保護を左右する等の術を施して、たちまちこれを盛ならしめ、またたちまちこれを衰えしむること、はなはだやすし。(福沢諭吉 『政事と教育と分離すべし』)
- 評価する。
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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否定 |
軽重しない |
未然形 + ない
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否定(古風) |
軽重せず |
未然形 + ず
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自発・受身 可能・尊敬 |
軽重される |
未然形 + れる
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丁寧 |
軽重します |
連用形 + ます
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過去・完了・状態 |
軽重した |
連用形 + た
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言い切り |
軽重する |
終止形のみ
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名詞化 |
軽重すること |
連体形 + こと
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仮定条件 |
軽重すれば |
仮定形 + ば
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命令 |
軽重しろ 軽重せよ |
命令形のみ
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