𛀁は上代日本語・初期の中古日本語においてはあ行え段「え」とは異なる発音を表す平仮名として書き分けられていたが、10世紀ごろから区別されなくなり互いに異体字(変体仮名)の関係となった。明治時代に平仮名の字体が統一された際、当初は「𛀁」が正体仮名、「え」は変体仮名とされていたが改訂され、現在のように「え」が正体仮名となり、「𛀁」は変体仮名になり使用されなくなっていった。
𛀁【枝】
- えだ。
- あめ つち ほし そら
やま かは みね たに
くも きり むろ こけ
ひと いぬ うへ すゑ
ゆわ さる おふせよ
えの𛀁を なれゐて(あめつちの詞)
𛀁 【兄】
- (家族) 同じ親から生まれた年上の男。
𛀁
- 助動詞「ゆ」の未然形、連用形。
- ...か行けば人に厭は𛀁かく行けば人に憎ま𛀁...(山上憶良『世間の住り難きを哀しびたる歌一首、また序』より一部抜粋 万葉集)
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | 活用型 |
𛀁 | 𛀁 | ゆ | ゆる | ゆれ | ○ | 下二段型 |
- 変体仮名の江(/ye/)、ヤ行エ。ア行、ヤ行、ワ行のエの発音が合流した後には格助詞の「へ」と同じ意味として用いられるなどする。