アイヌ語

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カナ表記 イルカ

異表記・別形

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  • irukay (イルカィ) (幌別・十勝)

発音

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  • IPA(?): /i.ɾú.ka/, [ʔi.ɾú.ka]

副詞

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iruka

  1. みじかあいだに。しばらく
    • イルカ ポカ[1]
      iruka poka
      少しの間でも
    • タネ アナㇰネ エアシㇼ イルカ トㇺタ[2]
      tane anakne easir iruka tomta
      もはや、本当にわずかの間に
    • 「アシヌマ カ アユプタリ アエシカルン クス イルカ アマチ アトゥラ ワ[3]
      asinuma ka a=yuputari a=esikarun kusu iruka a=maci a=tura wa
      「私も兄たちが恋しいので、ちょっとの間、妻と連れ立って、
    • イルカ アオナウタリ エウン アㇻパアン マ エカン ペ ネ ヤㇰ[4]
      iruka a=onautari eun arpa=an w_a ek=an pe ne yak
      少しの間、私の父達のところへ行って来 るから
    • 「アアクタリ ヘタ ヤン イルカ エキㇺネアン テㇰ ロ」[5]
      a=akutari heta yan iruka ekimne=an tek ro
      (大きい兄は) 「弟たちよ、さあ、ちょっとの間ちょっと狩りに行こう」
    • イルカ イルカ カ エキㇺネアン ペ ネ ア コㇿカ[6]
      iruka iruka ka ekimne=an pe ne a korka
      ちょっとの間でも山に行っていたものだったが
    • オラノ アナㇰ キ コㇿ アナナイネ ソンノ カ イルカ オカアン コㇿ[7]
      orano anak ki kor an=an ayne sonno ka iruka oka=an ko r
      そうしていたのだったが、暫くそうして暮らしていたところ
    • キ コㇿ アナナイネ イルカ ネ コㇿ アホニヒ アㇻカ ワ[8]
      ki kor an=an ayne iruka ne kor a=honihi arka wa
      しているうちに、ちょっとしてからお腹が痛くなって
    • イルカネコロ・/トノトカムイ・/ビリカマヌ・/ウッシウ・ウタラ・/イヹルヹネ・[9]
      iruka ne kor / tonoto kamuy / pirka manu / ussiw utar / ye ruwe ne.
      しばらくして/酒が/いい具合になったと/召し使いたちが/言うのだ。
    • イペアン ルウェ ネ アクス イルカ ネ コㇿ スㇽクカラ ニネ[10]
      ipe=an ruwe ne akusu iruka ne kor surkukar=an h_ine
      私は食事をすると短い間で毒にあたって、
    • イルカトムタ・/アイヹロックニ・/カネフリ・/ウビシレホチ・/ヤヤンフリ・/ウビシレホチ・/イヱンカシケ・/コラゾンナシテ・[11]
      iruka tum ta / a=ye rok kuni / kane huri / upis re hot / yayan huri / upis re hot / i=enkaske / koraconnaste
      一瞬で/いわゆる/金のフリ/全部で60羽/ただのフリ/全部で60羽が/私の上に/さっと下りてくる。
    • ア コㇿカイ イルカイ イルカイ イルカイ ネ ナンコンネ アリ ヤイヌ アン カン オカイ アン ア ル ネ[12]
      a korkay irukay irukay irukay [es]ne nankor ne ari yaynu=an kan okay=an a ru ne
      そうではあるけれども(そのような状態は)長続きはしないだろうからと気にもしないで私は暮らしているのです

対義語

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  • ohonno (オホンノ)長い間に

出典

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  1. 平賀さだも (1969), “12-3 ユカㇻ「アペサㇰスクㇷ゚ ワッカサㇰスク ㇷ゚」ポイヤウンペ イソイタㇰ(火なしに育った、水なしに育った)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  2. 平賀さだも (1969), “11-1 ウエペケㇾ「ウラユシウンクㇽ」(ウラユシの人)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  3. 平賀さだも (1969), “7-2 ウエペケㇾ「ケソラㇷ゚ カムイ イレス」(孔雀の神に育てられた)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  4. 木村きみ (1969), “20-6 ウエペケㇾ「イエマカアトゥサレ メノコ」(もろ肌を脱いだ女)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  5. 平賀さだも (1969), “7-2 ウエペケㇾ「ケソラㇷ゚ カムイ イレス」(孔雀の神に育てられた)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  6. 平賀さだも (1969), “11-4 ウエペケㇾ「ユペッホントムンクㇽ」(湧別の中流の人)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  7. 平賀さだも (1969), “11-1 ウエペケㇾ「ウラユシウンクㇽ」(ウラユシの人)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  8. 平目よし (1969), “19-5 ウエペケㇾ「ユペッ イㇼワㇰ ウコイキ」(湧別の兄弟げんか)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  9. 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-1 yukar (1), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040
  10. 貝澤とぅるしの (1969), “5-2 ウエペケㇾ「スルクマッ チクペニカムイ イカオピューキ」(トリカブトとエンジュのカムイが私を助けた)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月
  11. 鍋沢元蔵 (1954), Nabesawa-3 yukar (2), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040
  12. 沢井トメノ (1994), 沢井春美, ed., “沢井トメノさんが語る ツッポㇰクㇱペッ ”cuppokkuspet””, 北海道立アイヌ民族文化センター研究紀要: 51-78, 1995年3月