アイヌ語 編集

カナ表記 モィモィケ/モイモイケ

発音 編集

  • IPA(?): /moj.moj.ke/

語源 編集

moy動く重複形 + -ke (他動詞語尾)

動詞 編集

moymoyke (自動詞, 1項動詞)

  1. うごく。運動うんどうする。
    • ルイカ チョㇿポㇰ タ モイモイケ コㇿ アン。[1]
      ruyka corp ok ta moymoyke kor an.
      橋の下で動いていた。
    • ネア オッカイポ エネ モイモイケ ヒ アアン ヒ コラチ キ ㇷ゚ ネ クス[2]
      nea okkaypo ene moymoyke hi aan hi koraci ki p ne kusu
      例の若者が動いていたように、かつてそうであったようにするので
    • オラウン モイモイケ カ アエトランネ。[3]
      oraun moymoyke ka a=etoranne.
      動くのも億劫だった。
    • トアン モイモイケ ㇷ゚[4]
      toan moymoyke p
      あの動いている物を
    • セコロ・イタクコロ・/フムネ・アンコロ・/アヱオイナ・カムイ・/イコホサリ・/シヌタブカ・/アイヌアクボ・/ルイノタマニ・/ルイノ・モイモイケ・/ヱキナンコンナ・[5]
      sekor itak kor / humne an kor / Aeoynakamuy / i=kohosari / “Sinutapka / aynu akpo, / ruyno tamani / ruyno moymoyke / e=ki nankor_ na.”
      と言いながらも/時には/アエオイナカムイは/私の方も振り返り/「シヌタㇷ゚ カの/人間の弟よ,/激しく刀を使い/激しく動くの/だよ」
    • ドルヱトコ・/アタムノシバレ・/キロクアイネ・/キモイモイケ・/ヱヤイワイルレ・/タムドルクシベ・/アタムノシキケ・/チベカレ・/トブ■ネ■レブネ・/アオウサトイヱ・/カムイノド・/ホブニフムコ・/コトリミムセ・[5]
      tu ru etoko / a=tamnospare / ki rok ayne / ki moymoyke / eyaywayrure / tam utur kus pe / a=tamnoskike / cipekare / tup ne rep ne / a=owsatuye / kamuy inotu / hopuni hum ko / koturimimse
      何度も逃げる先へ/刀を追わせる/うちに/(相手は)動きを/誤り,避け損なって/刀を避けるはずのものが/私の刀の真ん中へ/向かって来たので/私はバラバラに/斬り払い,/神の命の/飛び去る音が/鳴り響いた。
  2. はたらく。仕事しごとする。

活用 編集

人称 単数形 複数形
一人称 k(u)=moymoyke moymoyke=as
二人称 e=moymoyke eci=moymoyke
三人称 moymoyke moymoyke
不定称 moymoyke=an moymoyke=an

出典 編集

  1. 貝澤とぅるしの (1969), “5-8 ウエペケㇾ「キㇰレッポ チチラ ウコイソイタㇰ ヒ アヌ」(ヤマベとドジョウが話をするのを私は聞いた)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  2. 平賀さだも (1969), “11-1 ウエペケㇾ「ウラユシウンクㇽ」(ウラユシの人)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  3. 平賀さだも (1969), “11-4 ウエペケㇾ「ユペッホントムンクㇽ」(湧別の中流の人)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  4. 平賀さだも (1969), “12-3 ユカㇻ「アペサㇰスクㇷ゚ ワッカサㇰスク ㇷ゚」ポイヤウンペ イソイタㇰ(火なしに育った、水なしに育った)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  5. 5.0 5.1 鍋沢元蔵 (1954), Nabesawa-3 yukar (2), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  6. 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-1 yukar (1), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040