あと【跡・蹟・痕・址】
- 人や動物が移動した際に残った歩行の痕跡。あしあと。
- 何かが行われた、又は、何かが存在した痕跡。
- 【跡、蹟】一般的な用字。
- 【痕】体についてのあと。
- 【址】建物等建造物のあと。
あと【後】
- (空間:「跡」から)進行方向又は視線の方向と逆の方向。
- やがて、彼等は、まだぬくもりが残っている豚を、丸太棒の真中に、あと脚を揃えて、くゝりつけ、それをかついで炊事場へ持ちかえった。逆さまに吊られた口からは、血のしずくが糸を引いて枯れ草の平原にポタ/\と落ちた。(黒島傳治 『前哨』)
- 類義語:うしろ:但し、「うしろ」が静的であるのに対して、「あと」は動的。
- 対義語:さき cf.「まえ」:「うしろ」の対義語
- (時間) (進行するものの後方のものは遅れることから)時間的に遅れて発生すること。以後、将来、未来。
- 残り、余り。
語義1
語義2
語義3
あと【後】
- (数量を表す述語を修飾して)あることが発生する、又は終結するなど変化するまで、時間や資源が残っている状況を示す。
- 後10分で開演する。
- いや、それよりも差し当たり大問題なのは、あと四十九回の治療代をどうして捻出すべきかということだった。(海野十三 『幸運の黒子』)
- 後3人でぼくの番だ。
- 木代が、六十円ほどはいったが、年末節季の払いをすると、あと僅かしか残らなかった。(黒島伝治 『窃む女』)
- (口語, 接続詞的に) それに加えて。
- しかし、これでもまだ、故郷までの全旅程の三分の一くらいしか来ていないのである。読者も、うんざりするだろう。あとまたいろいろ悲惨な思いをしたのであるが、もう書かない。(太宰治 『十五年間』)