めざす【目指す、目差す】
- (他動詞) ある物や場所を目標として進む。
- 電車から降りて、淋しい田舎町を少し行き、ほかの電車の踏切を過ぎ、その先を左へ折れると、河岸の堤防に出た。目指す割烹旅館はまだだいぶ遠そうだった。(豊島与志雄『女心の強ければ』)
- (他動詞) ある物事を目標としてその達成のために努力する。
- その人の前に出ては我々の技のごとき児戯にひとしいと言った師の言葉が、彼の自尊心にこたえた。もしそれが本当だとすれば、天下第一を目指す彼の望も、まだまだ前途程遠い訳である。(中島敦『名人伝』)
- (他動詞) 目当てとして見る。
- 向うに目指す品物を置いて、これに向って呪文を唱え、印を結んで、錬磨の功を積むのだそうでありまする。(泉鏡花『湯女の魂』)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 | めざさない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | めざそう | 未然形音便 + う |
丁寧 | めざします | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | めざした | 連用形音便 + た |
言い切り | めざす | 終止形のみ |
名詞化 | めざすこと | 連体形 + こと |
仮定条件 | めざせば | 仮定形 + ば |
命令 | めざせ | 命令形のみ |
めざす【芽差す】
- (自動詞) 芽が出る。
- 橘は芽ざしてより既に四十年を經たれども、未だ曾て花さかず實らず。(蒲原有明『春鳥集』)
- (自動詞) 発する。起こる。
- 『三四郎』に芽ざして『それから』に極度まで高まった恋愛の不可抗の力は、ついに正義を押し倒した。(和辻哲郎『夏目先生の追憶』)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 | めざさない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | めざそう | 未然形音便 + う |
丁寧 | めざします | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | めざした | 連用形音便 + た |
言い切り | めざす | 終止形のみ |
名詞化 | めざすこと | 連体形 + こと |
仮定条件 | めざせば | 仮定形 + ば |
命令 | めざせ | 命令形のみ |
めざす【目指す、目差す】
- 目印を探す。
- このときに、見えし星の影もなく、にはかに暗ふして、前後、途を失ふ。何の害もなかりしかども、有無に、道、見えず。目指すとも知がたし。(宿直草)