卑

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漢字

卑󠄁

部首: 十十 + 7 画
総画: 9画9
新字体

卑

部首: 十十 + 6 画
総画: 8画8
旧字体

字源

象形だが何を象ったものかは不明。柄付きの酒器^{[字源 1]}、槌^{[字源 2]}、柄の付いた工具^{[字源 3]}、竹籠^{[字源 4]}など多数の説があるがいずれも憶測の域を出ず、定説はない^{[字源 5]}。仮借して「ひくい」を意味する漢語｛卑 /*pe/｝に用いる。

金文	小篆	流伝の古文字

西周	《説文》（漢）	《六書通》（明）

↑ 朱駿声『説文通訓定声』 1870年、巻十一35頁。
↑ 葉玉森「説契」『学衡』第31期 1924年、2頁。
↑ 于省吾主編『甲骨文字詁林』中華書局、1996年、2133頁。
↑ 張世超、孫凌安、金国泰、馬如森『金文形義通解』中文出版社、1996年、655-657頁。
↑ 季旭昇撰『説文新証』芸文印書館、2014年、212-213頁。
林志強等評注『《文源》評注』中国社会科学出版社、2017年、274-275頁。

意義

（汎用的に）ひくい。
- 卑位、卑近、卑湿、卑小、卑賤、卑微、高卑
態度がひくい。遜ったり、媚び諂ったりする。
- 謙卑、卑屈
- 「粗にして野だが卑ではない」
いやしい。身分がひくい。
- 卑官
いやしい。道徳や品格がひくい。
- 卑怯、卑語、卑俗、卑劣、卑猥、野卑
ひくめる。いやしめる。
- 自卑

類義字：低
対義字：高

用法

『卑』は、「位置がひくい」「位置をさげる」という意味では使用できるが、「数値がひくい」「数値をさげる」という意味では使用できない。、「数値がひくい」「数値をさげる」という意味では、『低』を使用する。

× 卑温 → ○ 低温
× 卑気圧 → ○ 低気圧
× 卑水準 → ○ 低水準

日本語

常用漢字

音	漢音: ヒ表内呉音: ヒ表内
訓	訓読み: いや-しい表内、いや-しむ表内、いや-しめる表内、ひく-い、ひく-める、し-む

形容動詞

卑 (ひ)

(電気化学) ある電極の電極電位が相手となる電極や基準となる電位よりも低いさま。
- 2006年、経済産業省製造産業局「マグネシウム産業戦略」^[1]
  最も電位的に卑な実用金属であることから、表面腐食への対応として、化成処理、陽極酸化処理、塗装処理等の最適条件の確定とデータベースの整備が急務である。
- 2020年、国土交通省海事局「浮体式洋上風力発電施設技術基準安全ガイドライン」^[2]
  鋼材より卑な自然電位を持つ金属を犠牲陽極として使う。一般に船体外板など外部区画にはアルミ陽極が、バラストタンクなど内部区画には亜鉛陽極が使われる。

活用

活用と結合例

卑-だ形容動詞活用表（日本語の活用）
ダ活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
卑	だろ	だっでに	だ	な	なら	(無し)

各活用形の基礎的な結合例
意味	語形	結合
推量・意志	卑だろう	未然形 + う
過去・完了	卑だった	連用形 + た
否定形	卑でない	連用形 + ない
自動詞化	卑になる	連用形 + なる
言い切り	卑だ	終止形のみ
名詞化	卑なこと	連体形 + こと
仮定条件	卑ならば	仮定形 + ば
様態	卑そうだ	語幹 + そうだ

熟語

中国語

卑 *

ローマ字表記
- 普通話
  - ピンイン: bēi (bei1)
  - ウェード式: pei¹
- 広東語
  - イェール式: bei1
- 閩南語
  - POJ: pi
- 客家語
  - 白話字: pî
- 呉語
  - ピンイン: pe1
- 中古音: pjie
- 上古音: *pe

熟語

朝鮮語

卑 *

ハングル: 비
- 文化観光部2000年式: bi
- マッキューン＝ライシャワー式: pi

ベトナム語

卑 *

ローマ字表記
- チュ・クォック・グー: ty, ti, bi

文字情報

卑	U+5351, 卑 CJK 統合漢字-5351

← 卐
[U+5350]

CJK統合漢字

卒 →
[U+5352]

卑	U+FA35, 卑 CJK 互換漢字-FA35

← 勤
[U+FA34]

CJK互換漢字

喝 →
[U+FA36]

卑	U+2F82D, 卑 CJK 互換漢字-2F82D

← 卉
[U+2F82C]

CJK互換漢字補助

博 →
[U+2F82E]

文字コード (文字集合規格)
-	Unicode: U+5351
日	JIS X 0213/0208: 1面40区60点 [第1水準] (`Shift_JIS=0x94DA`, `EUC-JP=0xC8DC`, `ISO-2022-JP=0x485C`) JIS X 0213: 1面14区78点 [第3水準] (卑) (`Shift_JIS=0x87EC`, `EUC-JP=0xAEEE`, `ISO-2022-JP=0x2E6E`) MJ文字図形: MJ007851, MJ030249
中	GB18030: `0xB1B0`
台	Big5: `0xA8F5` CNS 11643: 1面 `0x4C38`
韓	KS X 1001: `0x5D64`

四角号碼: 2640₀
倉頡入力法: 竹田竹十 (HWHJ) / 竹竹十 (HHJ)

漢点字	六点漢字
⡣⢪	⠲⠧⠌

字典掲載
康熙字典	156ページ, 27文字目
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版)	2738
新潮日本語漢字辞典 (2008)	1136/1137
角川大字源 (1992)	921/924
講談社新大字典 (1993)	1499/1507
大漢語林 (1992)	1120/1121
三星漢韓大辞典 (1988)	356ページ, 17文字目
漢語大字典 (1986-1989)	1巻, 63ページ, 1文字目

註

↑ 経済産業省製造産業局『非鉄金属産業戦略』「マグネシウム産業戦略」（経済産業省ホームページ）政府標準利用規約（第2.0版）公開 https://www.meti.go.jp/policy/nonferrous_metal/strategy/magnesium01.pdf 2020年11月18日参照。
↑ 国土交通省海事局『浮体式洋上風力発電施設技術基準安全ガイドライン』令和2年3月 p. 134（国土交通省ホームページ）政府標準利用規約（第2.0版）公開 https://www.mlit.go.jp/common/001331376.pdf 2020年11月17日参照。

[1] 朱駿声『説文通訓定声』 1870年、巻十一35頁。

[2] 葉玉森「説契」『学衡』第31期 1924年、2頁。

[3] 于省吾主編『甲骨文字詁林』中華書局、1996年、2133頁。

[4] 張世超、孫凌安、金国泰、馬如森『金文形義通解』中文出版社、1996年、655-657頁。

[5] 季旭昇撰『説文新証』芸文印書館、2014年、212-213頁。
林志強等評注『《文源》評注』中国社会科学出版社、2017年、274-275頁。

[6] 経済産業省製造産業局『非鉄金属産業戦略』「マグネシウム産業戦略」（経済産業省ホームページ）政府標準利用規約（第2.0版）公開 https://www.meti.go.jp/policy/nonferrous_metal/strategy/magnesium01.pdf 2020年11月18日参照。

[7] 国土交通省海事局『浮体式洋上風力発電施設技術基準安全ガイドライン』令和2年3月 p. 134（国土交通省ホームページ）政府標準利用規約（第2.0版）公開 https://www.mlit.go.jp/common/001331376.pdf 2020年11月17日参照。

[字源 1]

[字源 2]

[字源 3]

[字源 4]

[字源 5]

[1]

[2]

		幫母	滂母	並母
一等	平声齊韻	豍㯅𥏠箄䚜	𠜱錍	鼙鞞椑崥㼰
	上声薺韻	㪏（迥韻：鞞）	䫌	髀𦸣
	去声霽韻	㪏	睥
	入声錫韻	綼		椑（先韻：琕）
		幫母	滂母	並母
二等	平声佳韻	-	-	牌䱝𥱼郫蠯（𣅜韻：牌猈）
	上声蟹韻	捭	-	猈（馬韻：䇑）（耿韻：蠯螷）
	去声卦韻		㵺	粺稗𪐄
	入声麥韻
		幫母	滂母	並母
三等A	平声支韻	卑鵯椑箄裨鞞𩔹庳渒錍𢃍		陴𩫫焷脾䴽埤裨蜱𧓎螷蠯㯅郫
	上声紙韻	𢔌俾鞞箄𪐄髀崥𦸣𠬈𢳋（旨韻：髀）	諀	婢庳
	去声寘韻	（至韻：𦸣）
	入声昔韻			椑萆𣮐（質韻：綼）
		幫母	滂母	並母
三等B	平声支韻	碑		郫㯅
	上声紙韻	㗗
	去声寘韻
	入声陌韻	-	-

卑

目次

漢字

字源

関連字

意義

用法

日本語

常用漢字

形容動詞

活用

熟語

中国語

熟語

朝鮮語

ベトナム語

文字情報

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