付録:ハンガリー語の後置詞
統語論
編集日本語の助詞と同じく、ハンガリー語でも文中の他の要素との関係を表す後置詞は参照する名詞の後に置かれます。
後置詞は強勢(アクセント)なしに発音されます。名詞と分かち書きされるにもかかわらず発音は接尾辞のように扱われ、名詞にのみ強勢が置かれます。
ただし、対比が必要な場合は後置詞にも強勢を置くことができます:
- A híd FELETT laktak, nem pedig a híd ALATT. - 彼らは橋の上に住んでおり、橋の下ではなかった。
名詞自体を繰り返さなくても、複数の後置詞を並べることができます:
- a víz alatt és felett - 水の下と上に
複数の語は一つの後置詞で受けることができます:
- a felhők és a föld felett - 雲と大地の上に
一部の後置詞には、方向または移動を示す3種類の関連する形があります。静止、対象からの移動、対象への移動です。
- A macska az asztal alatt van. - 猫はテーブルの下にいる。
- A macska kiugrott az asztal alól. - 猫はテーブルの下から飛び出た。
- A macska beugrott az asztal alá. - 猫はテーブルの下へ飛び込んだ。
形態論
編集接尾辞のついた形
編集後置詞は活用できません。しかし、人称代名詞を参照している場合、以下の一覧表に記載されているものは接尾辞を付けることができます。2019年の時点で、学者の間では接尾辞付きの品詞についてまだ意見が分かれています。伝統的な見方ではそれらが副詞(személyragos/személyjeles határozószók - 人称/所有接尾辞を伴う副詞)であり、ほとんどの辞書はまだそれらをそのように記載しています。ハンガリー語文法の最新の解釈[1]はそれらを人称代名詞として分類しています。
人称代名詞も接尾辞のついた形に追加すると強調していることを表現できます。これらの形はスペースなしで1単語で綴る必要があります:
- mi「私たち」 + alatt「下に」 + -unk「1人称複数所有接尾辞」 = mialattunk「私たちの下に」
- te「君」 + alatt「下に」 + -ad「2人称単数所有接尾辞」 = tealattad「君の下に」
人称接尾辞を伴う2および3方向の後置詞
編集次の一覧表には、2および3方向の接尾辞付き後置詞が記載されています。
- 注意1: 3人称複数の長い語形は人称代名詞 ők の代わりに ő を使用します。
- 注意2: 厳密にいえば、(én)köz(öt)tem, (te)köz(öt)ted, (ő)köz(öt)te, (én)közém, (te)közéd, (ő)közé(je), および (én)közülem, (te)közüled, (ő)közüle はどうやらあまり意味がありません。ただし、集合体が単一の存在として識別される場合を除きます(例えば、ミツバチの群れが共有された意識を獲得した場合)。ただし、これらの語形には日常的な機能もあり、少なくとも1人の参加者が「私」、「あなた」、または「彼/彼女/それ」である関係、例えば「君と私の間に」を te és énközöttem や teközötted és énközöttem というように表現します。
人称接尾辞を伴う1方向の後置詞
編集次の一覧表には基本形が1つしかない後置詞が記載されています。
人称接尾辞を伴わない後置詞
編集後置詞 | 日本語 | 用例 |
---|---|---|
alapján | によって、に基づいて | |
alkalmából | の機会に | |
címen/címén | として | |
ellenére | にもかかわらず | |
érdekében | の利益のために | |
esetén | の場合に | |
fejében | の見返りに | |
folyamán | の過程で | |
folytán | の結果として | |
gyanánt | として | |
hosszat | の間、全体を通して | órák hosszat ― 何時間も何時間も、 falu hosszat ― 村全体で |
kapcsán | の機会に | |
következtében | の結果として | |
közben | の最中に | |
mentén | に沿って | |
módjára | の方法で | |
módra | の方式で | |
múlva | の後に | |
nyomán | に基づく | |
óta | 以来 | |
során | の過程で | |
tájban/tájt | 頃に、辺りに | |
útján | として | |
végett | の目的で |
格が必要な後置詞
編集次の後置詞には参照する名詞に特定の格が必要です。
後置詞 | 日本語 | 必要な格 | 格接尾辞 | 用例 |
---|---|---|---|---|
alul | 以下で | 上格 | -n/-on/-en/-ön | érték「価格」 értéken alul vesz - 価格以下で何かを買う(現在よりも低い価格で) |
át | を通して、を横切って | 上格 | -n/-on/-en/-ön | ablak「窓」 Az ablakon át nézte a gyerekeket. - 彼女は窓越しに子供を見た。 |
belül | の内側に | 上格 | -n/-on/-en/-ön | ház「家」 a házon belül - 家の内側に |
dacára | にもかかわらず | (与格) | -nak/-nek | |
ellenére | にもかかわらず | (与格) | -nak/-nek | |
felül | を超えて | 上格 | -n/-on/-en/-ön | |
függően | に応じて | 奪格 | -tól/-től | időjárás「天候」 az időjárástól függően - 天候次第で |
innen/innét | のこちら側に | 上格 | -n/-on/-en/-ön | |
kívül-re | の外側へ, の横側へ | 上格 | -n/-on/-en/-ön | |
kívül-ről | の外側から | 上格 | -n/-on/-en/-ön | |
túl-ra | の向こう側へ | 上格 | -n/-on/-en/-ön | |
túl-ról | の向こう側から | 上格 | -n/-on/-en/-ön | |
végig | (に沿って)最後まで | 上格 | -n/-on/-en/-ön | |
(fogva) | の結果として | 接格 | -nál/-nél | |
(fogva) | から(時間) | 奪格 | -tól/-től | |
(kezdve) | から始まる | 奪格 | -tól/-től | |
(kivéve) | を除いて | 対格 | -t/-at/-ot/-et/-öt | |
(nézve) | に関して | 着格 | -ra/-re | |
együtt | と一緒に | 具格 | -val/-vel | |
egyetemben | と一緒に | 具格 | -val/-vel | |
hasonlóan | と同様に | 向格 | -hoz/-hez/-höz | |
képest | と比較して、に比べ | 向格 | -hoz/-hez/-höz | |
keresztül | を通して | 上格 | -n/-on/-en/-ön | |
kívül | の外側に、の横に | 上格 | -n/-on/-en/-ön | |
közel | の近くに | 向格 | -hoz/-hez/-höz | ház「家」 a házhoz közel - 家の近くに |
közepette | の真っただ中に | 主格または与格 | -nak/-nek | |
szembe | の反対側へ | 具格 | -val/-vel | |
szemben | の反対側に | 具格 | -val/-vel | |
szemből | の反対側から | 具格 | -val/-vel | |
szemközt | の反対側に | 具格 | -val/-vel | |
túl | の向こう側に | 上格 | -n/-on/-en/-ön |
脚注および参考文献
編集英語文献:
- Éva Dékány: The nanosyntax of Hungarian postpositions
- Veronika Hegedűs: Hungarian spatial PPs
- Rounds, Carol. Hungarian: an Essential Grammar. London / New York: Routledge. 2001. →ISBN. Preview at Google Books
ハンガリー語文献:
- Ádám Nádasdy: A névutó (The Postposition)
- Park Soo Young: A magyar névutórendszer a koreai nyelv szempontjából
- Küszöbszint:Magyar mint idegen nyelv - Névutók