アイヌ語

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カナ表記 カッコㇿ/カッコㇽ

発音

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  • IPA(?): /kat.koɾ/, [kat̚.koɾ(o̽)]

語源

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kat様子 +‎ kor~を持つ

副詞

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katkor

  1. 普段ふだんから。普通ふつうに。平生へいぜい
    • イネアブクス・/イヨマブクス・/シリキヤカ・/バロンナワ・/テコンナワ・/イヱゾクヌレ・/ランマカネ・/カチコロカネ・/オカアンヒケ・/イネフナクン・/ネナンコラ・/オトオトンリム・/オドキタラ・[1]
      ineapkusu / i=omap kusu / sirki ya ka / paronna wa / tekonna wa / i=ecoknure / ramma kane / katkor kane / oka=an hike / inehunak un / ne nankor _ya / otu otonrim / otukitara
      なんと/私を可愛がって/くれるのだろうか,/私の口もとに/手もとに/キスをして/いつも/変わりなく/暮らしていたが,/どこから/なのだろうか,/何度も轟音が/聞こえてくる。
    • ウェンクルチ イレㇱパ ワ ランマ カネ カッコㇿ カネ オカアニケ[2]
      wenkur h_uci i=respa wa ramma kane katkor kane oka=an h_ike
      貧乏人のお婆さんが私を育てて、いつもいつも私たちは暮らしていたが
    • リクンモシッタ/ランマカネ/カッコルカネ/アナンルヱネ[3]
      rikun mosir_ ta / ramma kane / katkor kane / an=an ruwe ne.
      天国ニ /何時モ /変リナシニ /我居リケリ (天の世界でいつも変わりなく私は暮らしていたのだ。)
    • ランマカネ・/カツコロ・カネ・/オカアンヒケ/フチイタク・/チホッバ・イタク・/エネオカヒ・[4]
      ramma kane / katkor kane / oka=an hike / huci itak / cihoppa itak / ene oka hi
      いつもいつも/変わりなく/暮らしていたが/おばあさんの言葉/言い遺した言葉は/こうだった。
    • スイ ランマ カネ カッコㇿ カネ オカアン アイネ[2]
      suy ramma kane katkor kane oka=an ayne
      またもや、いつも変わりなく暮らしているうちに

動詞

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katkor (自動詞, 1項動詞)

  1. 姿すがたつ。
  2. う。おこなう。
    • ウサイ■ネカタブ・/シヌタブカ・/アヱンアキヒ・/カッコロシリ・/アオヤネネナ・[1]
      usayne ka tap / Sinutapka / a=wen’akihi / katkor siri / a=oyanene na.
      「これはこれは/シヌタㇷ゚ カの/悪い弟が/ふるまうさまは/けしからんことだ。
    • アコロユビ・/カッコロ・シリ・/エネオカヒ・[4]
      a=kor yupi / katkor siri / ene oka hi
      兄さんが/振る舞う様子は/こうだ。
    • ウバクラメトク・/ウバクウタルバ・/ウコイキシリ・/アヌカラルスイワ・/アリキアンアワ・/ウサイネカタブ・/ボイヤフンベ・/カチコロシリ・/アオヤネネナ・[1]
      upak rametok / upak utarpa / ukoyki siri / a=nukar rusuy wa / arki=an awa / usayne ka tap / Poyyaunpe / katkor siri / a=oyanene na.
      「力が伯仲する勇者/力が拮抗する首領(同士)が/戦う様子を/見たくて/来たのに/いやはや/ポイヤウンペが/していることは/気に食わないね。
    • ダンベタネボクス」/ウノシバチカブ」/カッコロ[クニ/シリ]」/アシコバヤラ」[6]
      tanepo kusu / unospa cikap / katkor kuni(siri) / a=sikopayar
      すぐさま/私は追いかけあう鳥が/振る舞う様子と/同じようにした。
    • エアㇻキンネ オリパㇰ エアㇱカイ ノ カッコㇿ シリ アン。[7]
      earkinne oripak easkay no katkor siri an.
      大変に行儀のよい様子だった。

動詞

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katkor (他動詞, 2項動詞)

  1. ~と同胞どうほうである。

出典

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  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 鍋沢元蔵 (1954), Nabesawa-3 yukar (2), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  2. 2.0 2.1 鍋澤ねぷき (1969), “16-8 ルパイェユカㇻ「ウェンクㇽ フチ イレス」(貧乏人のお婆さんに育てられた)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  3. 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-2 kamuyyukar (2), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  4. 4.0 4.1 4.2 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-1 yukar (1), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  5. 平賀さだも (1969), “12-2 ユカㇻ「アペサㇰスクㇷ゚ ワッカサㇰスクㇷ゚」続き(火なしに育った、水なしに育った(続き ))”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  6. 鍋沢元蔵 (1959), Nabesawa-5 yukar (3), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  7. 平賀さだも (1969), “10-3 ウエペケㇾ「ウラユシウンクㇽ」(ウラユシの人)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月