あま【海人・海夫・蜑・蜑家・蜑女・海士・海女・塰】
- (日本史) 、《漁撈》[原義・古義](海人、海夫、蜑、蜑家、蜑女) 日本において、海を主する水域(河川や湖沼を含む)を生業の場とし、素潜りする漁民を始め、釣漁・網漁・塩焼(藻塩の製造)・水上輸送・航海などに携わる人のこと。古代・中世では性で区別する概念は未発達で、古代から見られる「海夫」も「漁夫」などと同じく、男性という意味は含まない。「蜑」「蜑家」「蜑女」は近世の文書に見られる語で、全て「あま」と読むが、中国の水上生活者を意味する「蜑(タン)」に由来する。
- (職業) 《漁撈》[近現代の意義](海人、海士、海女、塰) 海を主とする水域を生業の場とし、素潜りする漁民(※この意味では語義1より狭義)。基本的には日本国内での呼称であるが、韓国・済州島の同業者(海女〈ヘニョ〉(wp))や中国の同業者(採珠女)も同じく「海女」と呼ぶことも多い(※この意味では、国内に留まる語義1より広義)。性で区別する場合、男性は「海士」、女性は「海女」と書き分ける。「塰(あま)」は「海士」の合字で「海人」を意味する和製漢字(日本語国字)であるが、固有名詞の造語成分として地名や姓に用いられる(例:塰泊〈あまどまり〉、塰河〈あまがわ〉)に留まる。
- 随分昔のことであるけれども、房州の白浜へ行って海女のひとたちが海へ潜って働くのや天草とりに働く姿を見たことがあった。(宮本百合子 『漁村の婦人の生活 』)〔1941年〕
- (春の季語, 晩春の季語。分類は人事) (海女) 語義2のうち、女性のみ。
- 《日本伝統芸能》(海人。現代の別表記:海士) 能の演目の一つ。世阿弥の作品とされてきたが、彼の時代には既に存在していたことが判っている。詳しくは「w:海人 (能)」を参照のこと。