あらし

日本語

名詞:嵐

あらし【嵐】

1. 激しく吹く風（かぜ）。暴風。
   • 私は子供のころ、その痛い嵐が吹き荒む利根川端の崖路を、前橋へ使いに走らせられたことがあったのを記憶している。（佐藤垢石『わが童心』）
   • その嵐が吹きやむと間もなく暖かい春が訪れてくるであろうか。 （村山俊太郎『子どもの世界』）〔1947年〕
2. 激しく吹く風を伴う悪天候。
   • 嵐は雨を添えて刻一刻につのる。（寺田寅彦『嵐』）〔1906年〕
3. （比喩）（混乱をもとなう）事件や騒ぎ。揉め事
   • 暴圧の嵐はプロレタリアート・農民・インテリゲンチアの解放に向って燃える焔を消し得ないばかりか、ますます強固な鉄の団結を教える尊い証拠です。（宮本百合子『ますます確りやりましょう』）〔1932年〕
   • 本名で、君のケチ、アサマシサ、をさらけだすことの苦痛に堪えて、その争いの嵐の中で自分を育てたまえ。（坂口安吾『白井明先生に捧ぐる言葉』）〔1948年〕
4. （比喩）大きな音。またたくさんの声や意見。
   • 大広間からは時々賑やかな朗らかな笑声が聞こえていた。数分間ごとに爆笑と拍手の嵐が起こる。（寺田寅彦『高原』）〔1935年〕
   • 賞賛の嵐。批判の嵐。

発音

• (東京式) あ​らし [áꜜràshì] (頭高型 – [1])
• IPA^(?): [a̠ɾa̠ɕi]
• (京阪式) あ​らし

語源

• 「荒らし」から

関連語

• 類義語: 台風、吹雪（ふぶき）
• 熟語: 嵐の前の静けさ、コップの中の嵐

翻訳

激しく吹く風

• 「時化」、「ハリケーン」、「暴風雨」、「雷雨」も参照。
• イタリア語: tempesta ^(it), burrasca ^(it)
• 英語: storm ^(en), tempest ^(en)
• エスペラント: ŝtormo ^(eo)
• スウェーデン語: storm ^(sv) 通性
• スペイン語: tempestad ^(es) 女性, tormenta ^(es) 女性
• 中国語:  (繁): 風暴/ (簡): 风暴,  (繁): 疾風/ (簡): 疾风,  (繁): 暴風雨/ (簡): 暴风雨
• ドイツ語: Sturm ^(de) 男性
• ノルウェー語: uvær ^(no) 中性
• フランス語: tempête ^(fr) 女性, orage ^(fr) 男性
• ポーランド語: burza ^(pl) 女性, nawałnica ^(pl) 女性
• ポルトガル語: tempestade ^(pt) 女性
• リトアニア語]]: audra ^(lt) 女性

事件や騒ぎ

• 「騒擾」、「動乱」、「難」も参照。
• 英語: difficulty ^(en), trouble ^(en)
• 中国語:  (繁): 麻煩/ (簡): 麻烦,  (繁): 難度/ (簡): 难度,  (繁): 騷/ (簡): 骚,  (繁): 困難/ (簡): 困难,  (繁): 難關/ (簡): 难关,  (繁): 難點/ (簡): 难点,  (繁): 難處/ (簡): 难处,  (繁): 顛沛/ (簡): 颠沛

名詞:荒らし

あらし 【荒らし】

1. （接尾辞的に）荒らすこと又は人。特に窃盗を伴うもの。
   • なんでも二百年も昔の話だそうだが……。ある夏のことで、ここらに畑荒らしがはやったそうだ。（岡本綺堂『西瓜』）〔1932年〕
2. （インターネット）BBSなどで、メンバーを執拗に攻撃したり、無意味な書き込みや削除等を行って、その場の雰囲気を壊す又は機能を麻痺させること又は人。

発音

• (東京式) あらし [àráshí] (平板型 – [0])
• IPA^(?): [a̠ɾa̠ɕi]
• (京阪式) あら​し

語源

• 「あらす」の連用形から

翻訳

荒らすこと

• イタリア語: vandalismo ^(it)
• 英語: vandalism ^(en), vandalization ^(en)
• スペイン語: vandalismo ^(es)
• フランス語: vandalisme ^(fr)
• ポルトガル語: vandalismo ^(pt)

荒らす人

• イタリア語: vandalo ^(it)
• 英語: vandal ^(en)
• スペイン語: vándalo ^(es)
• フランス語: vandale ^(fr)
• ポルトガル語: vândalo ^(pt)

動詞

あらし

1. 「あらす」の連用形。

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古典日本語

形容詞：荒

あらし【荒し】

1. （波風が）激（はげ）しい。
2. 険（けわ）しい。
3. 乱暴な。

基本形	語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	已然形	命令形	活用の種類
あらし	あら	(-く)	-く	-し	-き	-けれ	○	ク活用
		-から	-かり	○	-かる	○	-かれ

発音

三拍形容詞一類^(?)

• 連用形

  (平安時代)あら​く

  (南北朝時代)あら​く

  (室町時代)あら​く

  (江戸時代)あら​く

• 連体形

  (平安時代)あらき​ぃ

  (南北朝時代)あらき​ぃ

  (室町時代)あら​き

  (江戸時代)あら​き

諸言語への影響

• 現代日本語: 荒（あら）い

形容詞：粗

あらし【粗し】

1. 粗（あら）い。

基本形	語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	已然形	命令形	活用の種類
あらし	あら	(-く)	-く	-し	-き	-けれ	○	ク活用
		-から	-かり	○	-かる	○	-かれ

諸言語への影響

• 現代日本語: 粗（あら）い

形容詞：有

あらし【有らし】

1. 有（あ）るらしい。
   • 春雨を待つとにしあらし我がやどの若木の梅もいまだふふめり（万葉集792）（春雨乎　待常二師有四）

基本形	語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	已然形	命令形	活用の種類
あらし	あら	(-しく)	-しく	-し	-しき	-しけれ	○	シク活用
		-しから	-しかり	○	-しかる	○	-しかれ