通じる
(つうじるから転送)
日本語
編集動詞
編集通じる (つうじる)
- (自動詞) 精通する。詳しい。
- 1924年、小酒井不木「紅色ダイヤ」[1]
- 探偵になるには動物、鉱物、植物学や物理、化学、医学の知識がいるので、俊夫君は一生懸命に勉強しましたが、三年たたぬうちに、それらの学問に通じてしまいました。
- 1942年、佐藤垢石「氷湖の公魚」[2]
- 鯛や鯖の産地。鰻や鯉、鮎などの天然の産か養殖ものか、網でとったものか釣ったのか、などということは少し食味に通じた人ならば舌先で分ける。
- 2024年、有山知希ほか「クイズコンペティションの結果分析から見た 日本語質問応答の到達点と課題」[3]
- 従って,日本語を用いた質問応答タスクに取り組むことは,日本語圏の文化に関する内容に通じている質問応答システムを作ることに繋がると考えられる.
- 1924年、小酒井不木「紅色ダイヤ」[1]
- (自動詞) 効果を発揮する。効く。
- (自動詞) ~と密かに関係を持つ。内通する。
- (自動詞) (インフラなどが)作り設けられる。行きわたる。引かれる。
- (自動詞) 理解される。意味が伝わる。
- (自動詞) (ある地点・場所に)つながる。至る。
- 1936年、永井荷風「放水路」[12]
- 橋の欄干に昭和六年九月としてあるので、それより以前には橋がなかったのであろうか。あるいは掛替えられたのであろうか。ここに水門が築かれて、放水路の水は、短い堀割によって隅田川に通じている。
- 1946年、宮本百合子「みのりを豊かに」[13]
- バラックの駅長事務所で、小雨に打たれて列に立ちながら、連絡について、いくらかでも具体的なことを知りたいと思ったら、若い駅員は、最後に「どことも電話が通じないんだから分らんよ」と答えた
- 1953年、片山廣子「L氏殺人事件」[14]
- 先生たちの部屋の前の廊下に、東に向いた階段があつて玄関に通じ、西に向いた裏の階段がキツチンや小使部屋に通じた。
- 1936年、永井荷風「放水路」[12]
- (自動詞) 基礎や要点において同じである。共通する。直結する。
- 1950年、中井正一「二十世紀の頂における図書館の意味」[15]
- 「話せばわかる」といった犬養氏に、「問答無用!」と拳銃の引き金を引いた考え方が、真直に真珠湾攻撃に通じている。
- 1954年、坂口安吾「ヒノエウマの話」[16]
- 男兄弟の五人目だから五の字がついてるが、炳はアキラカというような意味のほかにこれ一字でヒノエウマを表している字でもある。また、ヘイゴという音はヒノエウマの丙午に通じてもおって、ヒノエウマづくしのような名前だ。
- 2022年、松井英男「生活習慣病と言われたら」[17]
- さらに、生活習慣病の発症には、エピゲノムの変化が関与していることも明らかにされつつあり、その根本的な治療は老化の治療に通じるものがある。
- 1950年、中井正一「二十世紀の頂における図書館の意味」[15]
- (他動詞) (電気・電流を)流す。
- (他動詞, 古用法) (インフラなどを)作り設ける。行きわたらせる。引く。
- (他動詞) 分からせる。知らせる。
- (他動詞) (主に「~を通じ」「~を通じて」の形で)~を仲介にする。媒介にする。介する。
- (他動詞) (主に「~を通じ」「~を通じて」の形で)~のあいだ途切れずに続く。
- (他動詞) (主に「~を通じ」「~を通じて」の形で)~の全体で考える。
活用
編集ザ行上一段活用 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
通 | じ | じ | じる | じる | じれ | じよ じろ |
意味 | 語形 | 結合 |
---|---|---|
否定 | 通じない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | 通じよう | 未然形 + よう |
丁寧 | 通じます | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | 通じた | 連用形 + た |
言い切り | 通じる | 終止形のみ |
名詞化 | 通じること | 連体形 + こと |
仮定条件 | 通じれば | 仮定形 + ば |
命令 | 通じよ 通じろ |
命令形のみ |
派生語
編集註
編集- ↑ 青空文庫、2006年5月5日作成、2011年4月30日修正(底本:「小酒井不木探偵小説選 〔論創ミステリ叢書8〕」論創社、2004(平成16)年7月25日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000262/files/45693_23112.html
- ↑ 青空文庫、2007年7月2日作成(底本:「垢石釣り随筆」つり人ノベルズ、つり人社、1992(平成4)年9月10日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001248/files/46809_27407.html
- ↑ 有山 知希, 鈴木 潤, 鈴木 正敏, 田中 涼太, 赤間 怜奈, 西田 京介, クイズコンペティションの結果分析から見た 日本語質問応答の到達点と課題, 自然言語処理, 2024, 31 巻, 1 号, p. 47-78, 公開日 2024/03/15, Online ISSN 2185-8314, Print ISSN 1340-7619, https://doi.org/10.5715/jnlp.31.47, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnlp/31/1/31_47/_article/-char/ja CC BY 4.0で公開
- ↑ 青空文庫、2003年1月27日作成(底本:「新ハムレット」新潮文庫、新潮社、1998(平成10)年7月20日33刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1576_8585.html
- ↑ 「第162回国会 参議院 財政金融委員会 第6号 平成17年3月28日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/116214370X00620050328/169 2024年9月23日参照
- ↑ 青空文庫、2003年8月20日作成、2008年9月30日修正(底本:「一人三人全集Ⅰ時代捕物釘抜藤吉捕物覚書」河出書房新社、1970(昭和45)年1月15日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000272/files/1805_12060.html
- ↑ 青空文庫、2019年11月24日作成(底本:「荷風全集 第十八巻」岩波書店、1994(平成6)年7月27日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001341/files/56225_69721.html
- ↑ 青空文庫、1998年10月21日公開、2004年6月17日修正(底本:「日本文学全集12 国木田独歩 石川啄木集」集英社、1972(昭和47)年9月10日9版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000038/files/329_15886.html
- ↑ 青空文庫、2019年6月28日作成(底本:「「あまカラ」抄1」冨山房百科文庫、冨山房、1995(平成7)年11月13日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001798/files/59871_68495.html
- ↑ 青空文庫、2003年6月25日作成(底本:「寺田寅彦随筆集 第二巻」小宮豊隆編、岩波文庫、岩波書店、1997(平成9)年5月6日第70刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2448_11124.html
- ↑ 青空文庫、2008年10月15日作成(底本:「坂口安吾全集 03」筑摩書房、1999(平成11)年3月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/45886_33226.html
- ↑ 青空文庫、2010年4月15日作成、2019年12月12日修正(底本:「荷風随筆集(上)」岩波文庫、岩波書店、2006(平成18)年11月6日第27刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001341/files/49661_69852.html
- ↑ 青空文庫、2003年9月14日作成(底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3431_12337.html
- ↑ 青空文庫、2010年10月14日作成(底本:「燈火節」月曜社、2004(平成16)年11月30日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001346/files/50160_41223.html
- ↑ 青空文庫、2005年3月25日作成(底本:「中井正一評論集」岩波文庫、岩波書店、1995(平成7)年6月16日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001166/files/43714_18213.html
- ↑ 青空文庫、2008年4月15日作成(底本:「坂口安吾全集 14」筑摩書房、1999(平成11)年6月20日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42961_31184.html
- ↑ 松井 英男, 生活習慣病と言われたら, 川崎高津診療所紀要, 2022, 3 巻, 2 号, p. 172-180, 公開日 2023/06/05, Online ISSN 2758-6766, https://doi.org/10.60232/ktsk.3.2_172, https://www.jstage.jst.go.jp/article/ktsk/3/2/3_172/_article/-char/ja CC BY 4.0で公開
- ↑ 青空文庫、2005年6月14日作成(底本:「海野十三全集 別巻1 評論・ノンフィクション」三一書房、1991(平成3)年10月15日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/43663_18743.html
- ↑ 青空文庫、2019年1月29日作成(底本:「偉い科學者」實業之日本社、1942(昭和17)年10月10日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001429/files/58161_66964.html
- ↑ 青空文庫、1999年2月1日公開、2005年10月13日修正(底本:「菊池寛 短編と戯曲」文芸春秋、1988(昭和63)年3月25日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000083/files/496_19866.html
- ↑ 富山房編輯部 編『国語科教授の実際 : 帝国読本提要』巻1,富山房,昭和12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1052893 (参照 2024-09-25)
- ↑ 青空文庫、2003年3月23日作成(底本:「全訳源氏物語 下巻」角川文庫、角川書店 、1995(平成7)年5月30日40版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000052/files/5071_15350.html
- ↑ 青空文庫、2021年7月27日作成(底本:「佐々木邦全集 補巻5 王将連盟 短篇」講談社、1975(昭和50)年12月20日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001750/files/55831_73886.html
- ↑ 青空文庫、2003年9月14日作成(底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3499_12405.html
- ↑ 渡邉 英徳, デジタルアーカイブと実展示:時空間を撹拌し“フロー”化する空間, デジタルアーカイブ学会誌, 2024, 8 巻, 1 号, p. 3-5, 公開日 2024/03/25, Online ISSN 2432-9770, Print ISSN 2432-9762, https://doi.org/10.24506/jsda.8.1_3, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsda/8/1/8_3/_article/-char/ja CC BY 4.0で公開
- ↑ 青空文庫、2011年10月21日作成(底本:「和辻哲郎随筆集」岩波文庫、岩波書店、2006(平成18)年11月22日第6刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001395/files/49876_45587.html
- ↑ 青空文庫、2015年3月1日作成、2022年4月25日修正(底本:「植物記」ちくま学芸文庫、筑摩書房、2008(平成20)年12月10日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001266/files/51368_56013.html
- ↑ 青空文庫、2020年10月28日作成(底本:「佐々木邦全集2 次男坊 負けない男 凡人伝 短篇」講談社、1974(昭和49)年11月20日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001266/files/51368_56013.html
- ↑ 青空文庫、2010年1月20日作成(底本:「岸田國士全集24」岩波書店、1991(平成3)年3月8日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001154/files/44647_38003.html