就
- 「𫢁(>京)」+「尤」。甲骨文字・金文の「𫢁」は「亯」(廟)と「京」(高楼)を重ねた会意文字で、「高い」を意味する漢語{就 /dzuks/}を表す字。のち「尤」が加えられたが、その理由は不明。[字源 1]
- 「尤」は「㕚/*TSU/」の変化したもので加注声符との説がある。
- 『説文解字』では「京」+「尤」と説明されているが、甲骨文字や金文の形を見ればわかるように、これは誤った分析である。
- ↑ 張世超、孫凌安、金国泰、馬如森 『金文形義通解』 中文出版社、1996年、1367-1370頁。
黄徳寛主編 『古文字譜系疏証』 商務印書館、2007年、661-662頁。
季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、453-454頁。
林志強等評注 『《文源》評注』 中国社会科学出版社、2017年、365頁。
「就」を音符とする形声文字 (諧声域=*TSUK)
| | 精母 | 清母 | 従母 | 心母 |
一等 | 平声 豪韻 |
| | | |
上声 皓韻 |
| | | |
去声 號韻 |
| | | |
入声 沃韻 |
| - | - | |
| | 莊母 | 初母 | 崇母 | 生母 |
二等 | 平声 肴韻 |
| | | |
上声 巧韻 |
| | | |
去声 效韻 |
| | | |
入声 覺韻 |
| | | |
| | 精母 | 清母 | 従母 | 心母 |
三等A | 平声 尤韻 |
| | | |
上声 有韻 |
| - | | |
去声 宥韻 |
僦 | | 就鷲殧㠇 | |
入声 屋韻 |
𧑙噈殧𥷼蹴 | 蹴殧 | | |
| | 莊母 | 初母 | 崇母 | 生母 |
三等B | 平声 尤韻 |
| | | |
上声 有韻 |
| | | |
去声 宥韻 |
| | | |
入声 屋韻 |
| | - | |
- 構成要素「尤」の第3画を左から右下に少し引いてから真下に下ろす書き方をする人が多いが、活字が目の錯覚でそう見えることによる誤解であり、これまでの教科書体でそのような書き方を示した字はない。曲げずに上から下にまっすぐにおろす書き方が本来の書き方である。[1]
- 構成要素「尤」の第2画と第3画の離接は問わない[2]。「つける」と書いてある副読本がある[3]が、誤解を招く表現である。
- 構成要素「尤」の第3画の終筆ははねてもはねなくてもよい。[4]