いれる【入れる・容れる】
- (原義)外から中へ移動させる。
- いい気になって、どろぼうを、自分からすすめて家にいれてしまった。(太宰治 『春の盗賊』)
- 大量のものに対して、少量のものを混ぜ合わせる。
- 書き加える、加筆する。
- 入浴させる。
- ああ、園子をお湯にいれるのが、私の生活で一ばん一ばん楽しい時だ。園子は、お湯が好きで、お湯にいれると、とてもおとなしい。(太宰治 『十二月八日』)
- 仲間や組織に参加させる。
- 導入する。
- (「火を入れる」の形で)点火する。
- 機能させる。
- あるものの間にものを置く、挿入する。
- 話などに割り込む。
- (【容れる】)(容器などに)注入する。
- (【容れる】)(意見などを)採用する、容認する。うけいれる。
- 間もなく、ポウワタン船の提督の船室で、二人の日本青年の希望を容れるかどうかについて、会議が開かれた。(菊池寛 『船医の立場』)
- (容器に湯を入れ差し出すことから)(【淹れる】)湯を注いで飲み物をつくる、その飲み物を提供する。
- わたしも手伝って火を焚いて、湯を沸かす、茶を淹れる。(岡本綺堂 『青蛙堂鬼談』)
- 投票する、入札に応じる。
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
|
否定 |
いれない |
未然形 + ない
|
意志・勧誘 |
いれよう |
未然形 + よう
|
丁寧 |
いれます |
連用形 + ます
|
過去・完了・状態 |
いれた |
連用形 + た
|
言い切り |
いれる |
終止形のみ
|
名詞化 |
いれること |
連体形 + こと
|
仮定条件 |
いれれば |
仮定形 + ば
|
命令 |
いれろ いれよ |
命令形のみ
|
外から中に移動させる
いれる【煎れる, 炒れる, 熬れる】
- 炒った状態になる。
- いらいらする。
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
|
否定 |
いれない |
未然形 + ない
|
意志・勧誘 |
いれよう |
未然形 + よう
|
丁寧 |
いれます |
連用形 + ます
|
過去・完了・状態 |
いれた |
連用形 + た
|
言い切り |
いれる |
終止形のみ
|
名詞化 |
いれること |
連体形 + こと
|
仮定条件 |
いれれば |
仮定形 + ば
|
命令 |
いれろ いれよ |
命令形のみ
|
- (「い(「居る」の連用形)」+「れる(可能の助動詞)」、標準的な文法では、「いられる」。いわゆる「ら抜き言葉」)居ることができる。
- それでも、母が安心していることは、こっちの冬に二十何年も慣れたお前は、キットそこなら呑気にいれるだろうと考えているからだ。(小林多喜二 『母たち』)