「去」には二種類の字が存在する(別字衝突)。甲骨文字では異なる形をしていたが、のち同形になった。[字源 1]
- 会意。「大」+「口」[字源 2]。「口を開く」を意味する漢語{呿 /*kh(r)as/}を表す字。のち仮借して「さる」を意味する漢語{去 /*kh(r)as/}に用いる。
- 「呿」「袪」「阹」「麮」などの /*KA/ 系列の音を持つ形声文字の音符になる。
- 「盍」「蓋」の原字。器に蓋をしたさまを象る象形文字。盍#字源の項目を参照。
- 「劫」「怯」「㧁」「鉣」などの /*KAP/ 系列の音を持つ形声文字の音符になる。
- さらに、「却」「脚」において「去」と書かれる部分は「𧮫」に由来し、上記のどちらとも関係がない。
- 『説文解字』では「去」が「大」+音符「𠙴」と分析されているが、「𠙴」なる文字の存在は確認されておらず、信頼できない記述である。
- ↑ 裘錫圭 「談談古文字資料対古漢語研究的重要性」 『中国語文』1979年第6期 437-442頁。
裘錫圭 「説字小記」 『北京師範学院学報』1988年2期。
裘錫圭 「再談古文字中的“去”字」 『漢字文化』1991年2期。
季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、477-478頁。
徐超 「古漢字通解500例」 中華書局、2022年、147頁。
- ↑ 裘錫圭 「談談古文字資料対古漢語研究的重要性」 『中国語文』1979年第6期 437-442頁。
裘錫圭 「説字小記」 『北京師範学院学報』1988年2期。
裘錫圭 「再談古文字中的“去”字」 『漢字文化』1991年2期。
何琳儀 『戦国古文字典』 中華書局、1998年、494頁。
季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、477-478頁。
林志強等評注 『《文源》評注』 中国社会科学出版社、2017年、340頁。
徐超 『古漢字通解500例』 中華書局、2022年、147頁。