アイヌ語 編集

カナ表記 ヘト゚ク/ヘツ゚ク/ヘトゥク

発音 編集

語源 編集

he- +‎ tuk(芽が)出る +‎ -u 単数 (他動詞語尾)

動詞 編集

hetuku (複数形 hetukpa) (自動詞, 1項動詞)

  1. る。る。あたます。かおす。
  2. (植物が)びる。生長せいちょうする。える。く。る。
  3. (太陽などが)る。づる。はじめる。かがやる。のぼる。
    • hetuku cup
      ヘト゚ク チュㇷ゚
      さしいづる朝日
    • ボンメノコ・/ナンニベキ・/ヘドク・チユッブネ・/イヹヌチユッキ・/チウレ・カネ・/タブエアシリ・/シセタドレシ・/エドルバク・ナンカ・/ネナンコラ・[8]
      pon menoko / nan nipeki / hetuku cup ne / ienucupki- / ciwre kane / tap easir / cisetatures / eturpak nanka / ne nankor _ya?
      若い女の/顔の輝きは/昇る太陽のように/まばゆい光が/さして/これこそ本当に/家にいる妹に/匹敵する顔立ち/ではないか。
    • ナンニベキ・/ヘドクツブネ・/イヱヌツブキ・/チウレカネ・/ラメトクイボロ・/ヱイボロドイマ・/シンナカネブ・/タヌシコドイ■ワ・/ドミコロクニブ・/ネアコトム・/アネサンニヨ・[9]
      nan nipeki / hetuku cup ne / ienucupki- / ciwre kane / rametok ipor / eyportumma- / sinna kane p / tan _huskotoy wa / tumikor kuni p / ne a kotom / an=esanniyo
      その顔の輝きは/昇る太陽のように/まばゆい光が/さして/勇者の顔つきは/顔つきからして/別格な者が/ずいぶん長い間/戦っていた/らしく/思う。
  4. (人などが)まれる
    • ヘトゥク ㇷ゚ エネ クス ネノ エイキ ㇷ゚ ネ ナ。 お前は生まれた[10]
      hetuku p e=ne kus u neno e=iki p ne na.
      のですから、お前はそのようにするものです。
    • アコㇿ セコㇿ ヤイヌ ヒ クス ヘトゥク ㇷ゚ エネ ワ エアン ルウェ ネ。[11]
      a=kor sekor yaynu hi kusu hetuku p e=ne wa e=an ruwe ne.
      結婚しようと思って、それでお前が生まれたのです。

関連語 編集

  • rikoma (リコマ)高く昇る
  • epuni (エプニ)持ち上げる

活用 編集

人称 単数形 複数形
一人称 k(u)=hetuku hetukpa=as
二人称 e=hetuku eci=hetukpa
三人称 hetuku hetukpa
不定称 hetuku=an hetukpa=an

出典 編集

  1. 鍋澤ねぷき (1969), “16-8 ルパイェユカㇻ「ウェンクㇽ フチ イレス」(貧乏人のお婆さんに育てられた)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  2. 鍋澤ねぷき (1969), “16-8 ルパイェユカㇻ「ウェンクㇽ フチ イレス」(貧乏人のお婆さんに育てられた)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  3. 貝澤とぅるしの (1969), “5-2 ウエペケㇾ「スルクマッ チクペニカムイ イカオピューキ」(トリカブトとエンジュのカムイが私を助けた)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  4. 平目よし (1969), “19-5 ウエペケㇾ「ユペッ イㇼワㇰ ウコイキ」(湧別の兄弟げんか)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  5. 貝澤とぅるしの (1969), “4-8 カムイユカㇻ「ハンチキキ ソㇰソキヤ」(クサソテツが山にある訳)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  6. 平賀さだも (1969), “11-1 ウエペケㇾ「ウラユシウンクㇽ」(ウラユシの人)”, 第2年次調査研究報告書2/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  7. 貝澤とぅるしの (1969), “2-2 ウエペケㇾ「ランコ カッケマッ」(桂の木の女神)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  8. 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-1 yukar (1), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  9. 鍋沢元蔵 (1954), Nabesawa-3 yukar (2), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  10. 黒川てしめ (1969), “22-6 ウエペケㇾ「ホイヌトノ イカオピューキ」(テンの神様が助けてくれた話)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  11. 黒川てしめ (1969), “22-6 ウエペケㇾ「ホイヌトノ イカオピューキ」(テンの神様が助けてくれた話)”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月