さす

日本語

名詞・造語成分

さす

1. (古用法) 焼畑^(wp)。一部の地名中に残るのみ。

動詞：原義

さす

1. 細長いもので物を貫く。

活用

活用と結合例

さ-す 動詞活用表（日本語の活用）

サ行五段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
さ	さ そ	し	す	す	せ	せ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	ささない	未然形 + ない
意志・勧誘	さそう	未然形音便 + う
丁寧	さします	連用形 + ます
過去・完了・状態	さした	連用形音便 + た
言い切り	さす	終止形のみ
名詞化	さすこと	連体形 + こと
仮定条件	させば	仮定形 + ば
命令	させ	命令形のみ

動詞：刺す

さす 【刺す】

1. （「差す」、「挿す」とも） とがっているものを、貫（つらぬ）くように突（つ）く。
   • 針（はり）を刺す。
2. （「螫す」とも） 虫（むし）が血（ち）を吸（す）ったり、毒を針（はり）で注（そそ）いだりする。
   • 蚊（か）が刺す［螫す］。
3. 故意に傷（きず）付（つ）けようと刃物（はもの）で相手（あいて）を突（つ）く。
   • 腹（はら）を刺す。
4. 針（はり）を使って縫（ぬ）う。
   • 雑巾を刺す。
5. 鳥黐（とりもち）で鳥（とり）を捕（つか）まえる。
   • 鳥（とり）を刺す。
6. （「差す」とも） 船を動かすために棹で水底をつく。転じて櫓を使って船をこぐ。
7. (野球) 走者にボールをつけタッチアウトにする。
   • 2塁に刺す。
8. 感覚器官に刺激をあたえる。
   • 鼻（はな）を刺す。

関連語

自動詞形:ささる

翻訳

語義1:尖っているものを貫くように突く

• 英語: prick ^(en)
• ポーランド語: kłuć ^(pl)

語義2:虫が毒針を使う；　虫が咬む「かむ」も参照。

• 英語: sting ^(en)
• ポーランド語: żądlić ^(pl); kąsać ^(pl)
• リトアニア語: gelti ^(lt), įgelti ^(lt); kąsti ^(lt), įkąsti ^(lt)

語義3:刃物で人を突く「つく#動詞:突く」も参照。

• 英語: stab ^(en), thrust ^(en)
• ポーランド語: pchać ^(pl)/pchnąć ^(pl), dźgać ^(pl)

語義4:縫う — 「ぬう#翻訳」を参照のこと

語義5:鳥もちで（鳥を）捕まえる

• 英語: catch (birds) with birdlime
• ポーランド語: łapać (ptaki) klejem

語義6:水底に棹を突いて舟を漕ぐ

• 英語: pole a boat
• ポーランド語: wiosłować wiosłem o kształcie kijka

語義7:《野球》 タッチアウトにする

• 英語: tag out ^(en)

語義8:刺激を与える

• 英語: stab ^(en)
• ポーランド語: kłuć ^(pl)
• リトアニア語: （寒さが） gelti ^(lt)

参照

語義4:

• 刺繍する

動詞：指す

さす 【指す, 差す】

1. 針（はり）、指（ゆび）などで示す。
   • 後ろ指を指す。（時計の針が）12時を指す。（方位磁石が）北を指す。
2. その方向をめざす。
   • 東京を指して進む。
3. 指名、指摘、指定をする。
   • 先生が彼を指す。
4. 密告する。
   • 仲間を警察に指す。
5. 手（て）を、ある方向へ動かす。また、杯（さかずき）をすすめる。
6. (将棋) 将棋をする。
7. 結ぶ。また、板で物を作る。
8. 長さを測る。

動詞：差す

1. 潮（しお）が満ちる。
   • 潮が差す。
2. （「挿す」とも）色など、見えなかった物があらわれる。
   • 顔（かお）に赤みが差す。
3. （「射す」とも）光が届く。
   • 朝日が差す（射す）。
4. 生じる。入り込む。起こる。
   • 魔が差す。眠気が差す。
5. 気が咎める。
   • 気が差す。
6. 液体がしみこむ。
   • 水（みず）が差す。
7. 熱（ねつ）が上がる。
   • 熱が差す。
8. 草木が伸びる。
9. 競馬などで、前を行く馬などを追い越す。

動詞：挿す

1. 細い物を物の中に入れる。
2. （「差す」とも）刀剣を帯（おび）にはさむ。
   • 刀（かたな）を挿す（差す）。
3. 頭髪に入れ頭にとめる。
   • 簪（かんざし）を挿す。
4. さし木をする。また、生花をする。
   • 花瓶に花を挿す。

動詞：注す

（「差す」とも書く）

1. 注ぎ込む。
   • 水を注す。
2. 加える。
3. （「点す」とも）着色する。
   • 口紅を注す。

関連語

• 水を注す

動詞：点す

1. 火をつける。
2. （「注す」「差す」とも）少し垂らす。
   • 目薬を点す（注す）（差す）。

動詞：捺す

1. 捺印する。

動詞：鎖す

1. 戸、門、錠、栓などをしめる。

連語：方言

1. （西日本を中心に）させる。（動詞するの未然形+助動詞す）
   • そのゲームさして。（そのゲームさせて。）

活用

活用と結合例

さ-す 動詞活用表（日本語の活用）

サ行五段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
さ	さ そ	し	す	す	せ	せ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	ささない	未然形 + ない
意志・勧誘	さそう	未然形音便 + う
丁寧	さします	連用形 + ます
過去・完了・状態	さした	連用形音便 + た
言い切り	さす	終止形のみ
名詞化	さすこと	連体形 + こと
仮定条件	させば	仮定形 + ば
命令	させ	命令形のみ

助動詞：さす

1. （西日本を中心に）させる。
   • 食べさす。（食べさせる。）

用法

未然形の内、終音がア段以外のものに接続する。他は「す」が接続する。

活用

未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形	活用型
ささ	さし	さす	さす	させ	させ	動詞五段活用型

類義語

• させる
• す
• せる

接尾辞：止す

1. 途中でやめる。～し残す。（動詞の連用形に付き、五段活用の動詞になる）
   • 食べ止し。

同音異義語

さす

• 【叉手, 扠手】腕を組む。手を組む。
• 【砂州, 砂洲】主に海流による堆積作用で生成された地形。

---

古典日本語

動詞：刺す

さす【刺す】

1. 突（つ）き刺（さ）す。
2. （虫などが）刺す。
3. 鳥黐（とりもち）で鳥（とり）を捕（つか）まえる。
4. 船（ふね）を動（うご）かすために棹（さお）で水底をつく。

さ-す 動詞活用表（日本語の活用）

サ行四段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	已然形	命令形
さ	さ	し	す	す	せ	せ

発音

二拍動詞二類^(?)

• 連体形

  (平安時代)さす

  (南北朝時代)さす

  (室町時代)さす

  (江戸時代)さす

動詞：指す

さす【指す、差す、射す】

1. 光（ひかり）が届（とど）く、直射する。
2. 芽（め）が出る。
3. 潮（しお）が満（み）ちる。
4. 雲（くも）が湧（わ）き上（あ）がる。
5. 指（ゆび）差（さ）す。
6. 目（め）指（ざ）す。
7. 定（さだ）める、指定する。
8. 指名する、任命する。
9. 翳（かざ）す。
10. 設（もう）ける。
11. （前へ）伸（の）ばす。

さ-す 動詞活用表（日本語の活用）

サ行四段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	已然形	命令形
さ	さ	し	す	す	せ	せ

発音

二拍動詞二類^(?)

• 連体形

  (平安時代)さす

  (南北朝時代)さす

  (室町時代)さす

  (江戸時代)さす

動詞：挿す

さす【挿す】

1. 細（ほそ）い物を物の中に入（い）れる。

さ-す 動詞活用表（日本語の活用）

サ行四段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	已然形	命令形
さ	さ	し	す	す	せ	せ

動詞：注す

さす【注す、点す】

1. 灯（とも）す、点火する。
2. （炭や酒を）注（つ）ぐ。
3. 注（そそ）ぐ。

さ-す 動詞活用表（日本語の活用）

サ行四段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	已然形	命令形
さ	さ	し	す	す	せ	せ

動詞：鎖す

さす【鎖す】

1. 門や戸（と）を閉（し）める。

さ-す 動詞活用表（日本語の活用）

サ行四段活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	已然形	命令形
さ	さ	し	す	す	せ	せ

接尾辞

さす【止す】

1. 動詞の連用形に付いて、動作を途中で止める意を表す。〜しかける。

助動詞

さす（古形:しむ）

• 接続:上一段・下一段活用、上二段・下二段活用、カ行・サ行変格活用の未然形に接続する。その他は、「す」が接続する。

1. （使役）何かを他の人にさせる意味を加える。――させる。
2. （尊敬）尊敬語に接続して尊敬を表す。

活用: 古語: 助動詞

未然形接続

未然形	連用形	終止形	連体形	已然形	命令形
させ	させ	さす	さする	さすれ	させよ

関連語

• 受身:る、らる