鰥寡孤独
日本語
編集語源
編集『鰥』は「やもお」、『寡』は「やもめ」、『孤』は「みなしご」、『独』は「ひとりみ」の意。
成句
編集- か↘んかこ↗どく
出典
編集- 【白文】
- 王曰、「王政可得聞與」。
- 對曰、「昔者文王之治岐也、耕者九一、仕者世祿、關市譏而不征、澤梁無禁、罪人不孥。老而無妻曰鰥、老而無夫曰寡、老而無子曰獨、幼而無父曰孤。此四者、天下之窮民而無告者。文王發政施仁、必先斯四者。詩云、『哿矣富人、哀此煢獨』」。
- 【訓読文】
- 王曰く、「王政聞くことを得可きか」と。
- 対へて曰く、「昔者文王の岐を治むるや、耕す者は九の一、仕ふる者は禄を世にし、関市は譏して征せず、沢梁は禁無く、人を罪するに孥までにせず。老ひて妻無きを鰥(くゎん)と曰ひ、老ひて夫無きを寡(くゎ)と曰ひ、老ひて子無きを独と曰ひ、幼くして父無きを孤と曰ふ。此の四者、天下の窮民にして告ぐる無き者なり。文王政を発し仁を施すに、必ず斯の四者を先にせり。詩に云ふ、『哿きかな富める人、哀しや此の煢独』」と。
- 【現代語訳】
- 斉の宣王が言った、「王者の政治についてお聞かせ頂けないか」。
- (孟子が)答えて言った、「昔、文王が岐[2]を治めていた頃、農民には収穫の九分の一しか課税せず、官吏には俸禄を世襲させ、関所や市場では取り調べはしても通行税や物品税を徴収したりはせず、沢地や、簗を仕掛けた川で漁をすることを禁止することもなく、罪人を処罰するに際しては妻子まで連座させるようなことはしませんでした。老いて妻のいない者を鰥(かん)といい、老いて夫のいない者を寡(か)といい、老いて子のいない者を独といい、幼くして父のいない者を孤といいます。これら四種類の人々は、世の中でも特に困窮している民であって、苦しみを訴える相手もない人々です。文王は政令を発して仁政を行うに際し、これら四種類の人々を真っ先に救おうとしました。『詩経』にも次のようにあります、『良いものだ、裕福な人は。哀れなのはこれらの身寄りのない人々だ[3]』」。
関連語
編集- 類義語: 鰥寡惸独