咫尺

日本語

発音

• (東京式) し​せき [shíꜜsèkì] (頭高型 – [1])
• (東京式) しせき [shìsékí] (平板型 – [0])
• IPA^(?): [ɕise̞kʲi]

名詞

咫尺 (しせき)

1. 尺度の短いこと。距離の近いこと。「咫」は周の時代の尺度における8寸、「尺」は同じく10寸に当たる。
   • 堯無三夫之分、舜無咫尺之地、以有天下。（『戦国策』巻19・趙策二・蘇秦従燕之趙始合従）

     堯は三夫の分無く、舜は咫尺の地無くして、以て天下を有（たも）つ。

     尭は農夫三人分の領分すら持たず、舜はほんの僅かな土地すら持たなかったが、天下を領有した。

   • 策（はかりごと）を帷幕の内にめぐらして勝つ事を咫尺のもとにえたり（『平家物語』巻7）

     策略を本陣の中で考え、目前で勝利を得た。

   • 彼はその瞳の持ち主と咫尺の間に向い合った今、再び最前の心の動揺を感じない訳には行かなかった。（芥川龍之介『路上』）
2. 接近すること。貴族や重要人物の面前に近付くこと。

類義語

• 語義1: 近接、至近
• 語義2: 謁見、拝謁

関連語

• 成句: 咫尺千里、咫尺を弁ぜず

翻訳

• 英語: very short distance

動詞

咫尺する (しせきする)

1. 貴族や重要人物の面前に近付く。
   • 中にも、あはれなりし御事は、中宮の御方に候はせたまふ女房の召し使ひける上童、思はざるほか、竜顔に咫尺することありけり。（『平家物語』巻6・葵前）

     中でも哀れだったことは、中宮の御方にお仕えしている女房が召し使いとしていた少女が、思いがけず高倉天皇のお側に参ることがあった。

   • あの美しい夫人の面影に、再び咫尺することもあるまい。（菊池寛『真珠夫人』）

活用

活用と結合例

咫尺-する 動詞活用表（日本語の活用）

サ行変格活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
咫尺	し せ さ	し	する	する	すれ	しろ せよ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	咫尺しない	未然形 + ない
否定(古風)	咫尺せず	未然形 + ず
自発・受身 可能・尊敬	咫尺される	未然形 + れる
丁寧	咫尺します	連用形 + ます
過去・完了・状態	咫尺した	連用形 + た
言い切り	咫尺する	終止形のみ
名詞化	咫尺すること	連体形 + こと
仮定条件	咫尺すれば	仮定形 + ば
命令	咫尺しろ 咫尺せよ	命令形のみ

翻訳

• 英語: have an audience with

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